2025年6月9日
東京の夜間定時制高校の存続を求める緊急アピール
「学校不信から高校に行かずに働きたいと言っていた息子は働きながら学べる夜間定時制に進学し、今では高校の教師をしています。夜間定時制をなくさないでほしい」。4月5日の7校の定時制の存続を求める集会にさまざまな立場の人がかけつけ、次々と夜間定時制の魅力を語りました。
「学校不信から高校に行かずに働きたいと言っていた息子は働きながら学べる夜間定時制に進学し、今では高校の教師をしています。夜間定時制をなくさないでほしい」。4月5日の7校の定時制の存続を求める集会にさまざまな立場の人がかけつけ、次々と夜間定時制の魅力を語りました。
願意
都において、都立立川高等学校定時制課程(以下「立川高校定時制」という。)の生徒募集を継続していただきたい。
理由
東京都教育委員会は、2024年10月24日の教育委員会定例会において、立川高校定時制の生徒募集を停止することを決定した。私たちが生徒募集の継続を求める理由は、以下のとおりである。
立川高校定時制は、約140人の生徒が在籍する、都内の定時制高校普通科では最大規模の学校で、多摩地域随一の人気校である。多くの生徒がバスケットボール、バドミントン、卓球などの運動部や、軽音楽、演劇、イラストなどの文化部に参加し、放課後も活動している。交通の便も良く、JR立川駅などから7~8分程度で通うことができる。立川高校定時制の生徒募集が停止となれば、八王子市、日野市、立川市の夜間定時制高校は無くなる。
また、立川高校定時制の生徒を募集停止にする代わりに、チャレンジスクールである立川緑高等学校を開設して生徒を受け入れるとのことであるが、チャレンジスクールは主に不登校の生徒を受け入れる学校である。東京都教育委員会は、「昼夜間定時制高校とチャレンジスクールの夜間部の規模拡大やチャレンジスクールの新設を行い、その進捗や夜間定時制課程の応募倍率の推移などの状況を考慮しながら、一部の夜間定時制課程を閉課程していく」と説明している。そうであるならば、立川緑高等学校や砂川高等学校Ⅲ部の応募倍率や状況を見てから、立川高校定時制の生徒募集の停止を考えるべきである。
立川高校定時制は創立88年を迎え、歴史と伝統を積み重ねてきた。卒業生や地域の人々などから存続を願う切実な声が寄せられており、東京都立立川高等学校芙蓉会(定時制同窓会)も廃校反対の方針を掲げ、存続を求めている。
2024年4月5日、大塚のラパスホールにて開催された第2回「7校の夜間定時制の存続を求める都民集会」に61人が参加しました。
2024年署名
紙、オンライン合計 22.601
2023年署名
紙、オンライン合計 12.109
・立川高校定時制の来年度(2025年度)の募集停止、小山台、桜町、大山、葛飾商業、
蔵前工科、北豊島工科の6校を2026年度に募集停止する予告を決定。
立川 立川市 2025年度 2027年度(2028年3月)
小山台 品川区 2026年度 2028年度(2029年3月)
桜町 世田谷区 同上 同上
大山 板橋区 同上 同上
北豊島工科 板橋区 同上 同上
蔵前工科 台東区 同上 同上
葛飾商業 葛飾区 同上 同上
戦後まもなく発足した東京都の夜間定時制高校は現在も、昼間働いている生徒や高校を中退した生徒、夜間中学卒業生、若いときに学ぶ機会を逸した人、外国につながる生徒など、多様な学びのセーフティーネットの役割を果たしています。かつて100校以上あった都立の夜間定時制は1990年代に生徒減少を理由に統廃合を強行され半数以下となり、2016年には、雪谷高校(大田区)、小山台高校(品川区)、江北高校(足立区)、立川高校(立川市)の4校の夜間定時制の閉課程(廃校)が決定されました。毎年1万筆を超える署名を都教委に提出し、夜間定時制の存続を願う都民の声が広がりましたが、すでに雪谷高校と江北高校の定時制は生徒募集が停止され、廃校になりました。
小山台高校と立川高校の定時制の生徒募集は、閉課程(廃校)決定後も毎年行われていましたが、昨年10月、都教委は立川高校定時制の生徒募集停止を予告しました。立川高校定時制は現在およそ140人の生徒が在籍する普通科で最大規模の夜間定時制です。小山台高校定時制は外国につながる生徒を受け入れ、多文化共生教育を先進的に進めています。今年は立川高校定時制の募集停止予告の撤回と小山台高校の生徒募集の継続を求める署名を集め、9月25日までに1万5000筆を超える署名を都教委に提出しました。
ところが8月22日、都教委は「都立高校におけるチャレンジサポートプラン(案)」なるものを発表し、その中で「困難を抱える生徒の受入環境の充実」のためとして、立川高校定時制を2027年度末(2028年3月)で廃校にし、小山台高校のほかに新たに桜町高校(世田谷区)、大山高校(板橋区)、北豊島工科高校(板橋区)、蔵前工科高校(台東区)、葛飾商業高校(葛飾区)の5校の定時制を加えて、2026年に生徒募集を停止し、2028年度末(2029年3月)に廃校にする方針を明らかにしました。いっきょに7校の夜間定時制を廃校にする計画です。
「困難を抱える生徒の受入環境の充実」というならば、実際に困難を抱える生徒が多くいる夜間定時制こそ充実させるべきです。また「勤労青少年の大幅な減少」を廃校理由としていますが、勤労青少年にパート・アルバイトを含めないのは労働法を踏みにじるものです。しかも、在校生や卒業生、地域の住民などへの説明は何もなされていません。この都教委の暴挙に対して、新たに7校の夜間定時制の生徒募集停止計画の撤回を求める緊急署名を集め、6,700筆超の署名を都教委に提出しました。立川高校定時制、小山台高校定時制の署名と合わせると2万2,000筆を超える署名数となりました。
誰でも、何歳でも、少人数で学べる夜間定時制をこれ以上廃校にしてはなりません。小規模化によって学習環境に課題があるという廃校の理由は間違っています。普通科で最大規模の立川高校定時制を廃校にするのですから都教委の廃校の理由は成り立ちません。都教委の杜撰で強引な廃校計画は絶対に認められません。私たちは7校の夜間定時制の生徒募集停止の撤回を求めるとともに、その存続を今後も強く求めていきます。
2024年10月5日 7校の夜間定時制の存続を求める10・5緊急集会参加者一同
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